
シクラメンは球根植物でありながら、チューリップやユリのように球根内に養分を蓄えて花を咲かせるタイプとは性質が異なります。
花と葉を次々と出すため、球根内の養分だけでは足りず、開花中もしっかりと肥料を補う必要があり、肥料食いの植物の中でも”大食い”と言えるほどです。
そのため、肥料の与え方を理解しておくことが、美しく長く花を楽しむうえでとても大切になってきます。
固形肥料が有効な時期
固形肥料がシクラメンに適しているのは、主に植え付けや植え替えのタイミングです。
即効性のある肥料はすぐに強い肥料成分が水に溶け出してしまい、シクラメンの根を傷めてしまう原因になるため、元肥には緩効性(ゆっくり効くタイプ)のものを与えることが大切です。
固形の肥料は基本的に緩効性ですので、少量を土に混ぜればよいでしょう。
固形肥料は、用土1リットルあたり5gの配合比率で混ぜることで十分に効果を発揮してくれます。
追肥として固形肥料(置き肥)を使う場合も肥料を置く場所は球根の近くではなく、球根から離れた鉢の縁の側に置くようにします。
球根に直接触れると傷みの原因になるため、この点は必ず守るようにしてください。
固形の緩効性化成肥料と液体肥料を併用するとよく、固形の緩効性化成肥料は鉢縁の近くに置き、古い肥料は取り除くようにします。
追肥として固形肥料を使う場合の頻度については、2ヶ月に1回程度与えます。
肥料の成分にも気を配る必要があります。
窒素、リン酸、カリウムが同等のもの、またはリン酸が多めのものを使用するとよく、窒素は花の色が鮮明になり大きく咲くように作用し、葉の数を増やして新芽の生育を助けてくれます。
リン酸は花付きが良くなり、根の伸長を促進する作用があります。
一方で、窒素が多い肥料ばかりを与えると葉ばかりが茂って花つきが悪くなることがあります。
底面給水鉢では固形肥料に注意が必要
市販のシクラメンの多くは底面給水鉢に植えられており、この場合は固形肥料の扱いに特別な注意が求められます。
底面給水の鉢の場合、固形肥料やアンプルは使わないほうがよいという声もあります。
鉢の上から水やりをしないため、肥料成分が流れ出にくく、肥料過多になりやすいからです。
底面給水鉢は土の中に残った肥料分が土の表面にたまりやすいため、10日に1回程度、タンクを外して上からたっぷり水をやり、たまった肥料分を洗い流すとよいでしょう。
この作業を怠ると、じわじわと肥料濃度が高まり、根にダメージを与えるリスクがあります。
底面給水鉢という生活環境に適応した根の生長をしているシクラメンには、底から水と一緒に吸い上げられる液体タイプの肥料が適していてストレスもかかりません。
ただし、普通の液体肥料では強すぎて、根を傷めてしまう恐れもあります。
底面給水鉢で育てている場合は、固形肥料よりも専用の液肥を薄めて使うほうが安全と言えます。
固形肥料を与えすぎると起こる問題
どれだけ効果があるとされる肥料でも、与えすぎれば植物にとって害になります。
肥料を与えすぎてしまうと草丈が伸びすぎたり、肥料焼けで枯れてしまうことがあります。
シクラメンは根も弱いため、急激に肥料を与えたり肥料過多にならないように適量を適した頻度で施すことが大切です。
肥料焼けが起きてしまった場合の対処について、固形肥料の場合はその肥料を取り除けばよいのですが、肥料焼けの兆候が出てくるのは時間が経ってからのことが多く、気がついた時には手遅れという場合もあります。
早期に気づいて固形肥料を取り除き、水を十分に与えて濃度を薄めることが回復への第一歩です。
購入直後のシクラメンに肥料を与えるタイミング
ホームセンターや花屋で購入したばかりのシクラメンには、すぐに固形肥料を与える必要はありません。
出荷前に十分な肥料が施されているので、購入後しばらくは肥料は必要なく、逆に与え過ぎるとしおれることがあります。
2〜4週間は様子を見て、株全体の葉が薄くなり、古い葉が黄化するようなら施し始めましょう。
購入してきたばかりで、すでに花が咲いている株の場合は、家の環境に慣れた購入1週間後から追肥すると元気でいてくれます。
また、植え替えをしたものは根がしっかりと張ってから与えるため、植え替え後1ヶ月経ってから追肥を始めるのがよいタイミングです。
肥料を与えない時期についても忘れずに
シクラメンに追肥をする時期は生育期にあたる10〜3月頃までです。
それ以外の時期はシクラメンを休眠させるのが一般的で、株が休眠している時期は肥料や水を与える必要はありません。
休眠中に肥料を与えてしまうと根に余計な負担をかけることになりますので、季節に応じた管理が必要です。
また、肥料を多く与えたからといって花が多く咲くわけではなく、葉の枚数で花の数は決まると言われています。
花後の育て方や夏越し、そして肥料よりも栽培環境が大事になってきます。
固形肥料はあくまでも補助的な栄養補給として位置づけ、適切な置き場所と管理を組み合わせることが、シクラメンを長く元気に咲かせる秘訣と言えます。