
バラの大苗とは、前年もしくは当年初めに接ぎ木した苗を春から晩秋まで生産者が畑でじっくりと育て上げたものです。
接ぎ木後すぐにポット植えにして流通させる新苗と違い、プロが秋になるまで半年以上しっかり育てた苗ですので、バラ栽培をはじめたばかりの方でも取り組みやすいというのが大きな魅力です。
ただし、休眠期に流通する大苗は、葉や花のない枝だけの状態のため、一見してよい苗かどうかの見極めがしにくいという難しさもあります。
だからこそ、いくつかのポイントをしっかり押さえておくことが大切です。
枝の太さと充実度をまず確認する
大苗を選ぶうえでまず目を向けるべきは、枝の状態です。
細い枝がたくさんあるよりも、少ない本数でも太い枝があるほうが、これからの成長が見込めます。
ただし、太ければそれだけで合格というわけではありません。
枝は太ければいいのではなく、充実した枝であることが大事で、枝の充実度は枝の切り口で判断します。
切り口の中心にある白い木質部分が小さく、しっかりと締まっているものが充実している証拠です。
木質部が大きく占めているものは、養分の蓄えが少ない可能性があります。
また、枝の表面に縦の筋があるものは養分をしっかり蓄えた充実している枝の証で、枝が太くても表面に縦の筋がない場合は、養分が少なく冬に枯れてしまうこともあります。
園芸店の店頭でぜひ手に取って確認していただきたいポイントです。
同一品種どうしで比べる
大苗を選ぶ際に多くの方が陥りがちな間違いが、異なる品種同士を並べて比較してしまうことです。
大苗を選ぶ際にチェックするポイントは枝の太さや本数ですが、それらは品種によって異なるため、異品種との比較はできません。
同一品種の場合、なるべく太い枝が本数多くあるものを選びましょう。
たとえばコンパクトな品種は元から枝が細めのものが多く、そこにつる性の品種と同じ基準を当てはめても意味がありません。
できるだけ同じ品種の苗を並べて見比べることで、相対的に優れた苗を見つけやすくなります。
接ぎ木部分と株元の状態をチェックする
接ぎ目や根にこぶが出来ていたり、病害虫の被害があるものは避けましょう。
このこぶは「根頭がんしゅ病」と呼ばれる病気で、一度感染すると完治が難しく、株の勢いを著しく落とします。
接ぎ木部分(クラウン)はしっかり癒合していて、表面が滑らかなものを選んでください。
樹皮や切り口に黒っぽい染みができていないかもあわせて確認しておきましょう。
黒ずみは病害や枯れ込みのサインである場合があります。
重量感も選ぶ基準のひとつ
大苗を選ぶ際は重量感のあるものを選ぶことが大切です。
葉のない状態では見た目の判断に限界がありますが、実際に手に持ってみると株の充実度がある程度わかります。
軽すぎる苗は根量が少なかったり、枝が空洞になっていたりする可能性があります。
持ち比べると同じ品種・同じサイズでもずっしりとした重みを感じる苗のほうが、根や枝がしっかりと充実していることが多いです。
流通形態ごとの見方の違い
大苗には大きく分けて裸苗、ロングポット苗、鉢植え苗の3つの形態があります。
裸苗は根の状態が分かりやすいのも利点ですが、長期間そのままでの保存は不可能で、苗が手元に届いたら1週間以内に植えつける必要があります。
根が乾いていないか定期的にチェックし、気温の低い直射日光の当たらない場所で保管することが必要です。
一方、鉢植えの大苗はそのまま栽培することが可能というメリットがありますが、根の状態は分かりにくく、自分の好みの用土で栽培したい場合も少なくとも1年間はそのままの用土で栽培しなければならないというデメリットがあります。
それぞれの特性をあらかじめ理解したうえで、自分の管理スタイルに合った形態のものを選ぶことが、失敗しないための重要な判断軸となります。
信頼できる購入先を選ぶことも大事
苗の状態がいくら良くても、管理状態の悪い販売店で長期間放置されていた苗では、本来の品質が損なわれていることがあります。
バラ専門店や評判の確かな通信販売を利用することで、品種の正確さや管理のしっかりとした苗を手に入れやすくなります。
また、できれば苗がたくさん店頭に並んでいる早い時期に、同じ品種の苗を見比べて選ぶことをおすすめします。
入荷直後は選択肢が多く、より状態の良い苗を選べる可能性が高まります。
大苗の流通が始まる11月頃には、早めに足を運ぶことを意識してみてください。