
あじさいを育てていると、ある日気づいたら葉が黄色く変色していた、という経験をお持ちの方は少なくないはずです。
青々と茂っていたはずの葉が色を失っていく様子は、見ていて不安になるものです。
ただ、葉が黄色くなる原因はひとつではなく、水やりの問題から栄養不足、病害虫まで幅広い要因が絡んでいます。
正しい原因を把握しないまま対処してしまうと、かえって状態が悪化することもありますので、まずは「なぜ黄色くなるのか」をきちんと理解することが大切です。
葉が黄色くなる現象「クロロシス」とは
植物の葉が黄色くなる現象は「クロロシス」と呼ばれています。葉緑素(クロロフィル)が不足することで起こり、本来は光合成に欠かせないクロロフィルが十分に作られなかったり分解されてしまうことで、葉の色が緑から黄緑、さらには黄色へと変わっていきます。
あじさいはこのクロロシスが起きやすい植物のひとつで、育て方や環境次第でさまざまな形の黄変が現れます。
注意したいのは、黄変の「パターン」を観察することです。
窒素が不足している場合は葉全体が薄く黄色くなり、古い葉から黄変が始まります。
一方、鉄が不足している場合は葉脈は緑のまま残りつつ葉肉の部分が黄色くなり、新しい葉ほど影響が出やすいという特徴があります。
マグネシウムが不足している場合も葉脈の緑が残る形で黄化しますが、古い葉から症状が進む点が鉄欠乏とは異なります。
このように症状の出方をよく見ることで、原因の絞り込みができます。
水やりの問題による黄変
あじさいの葉が黄色くなる原因として、最もよく見られるもののひとつが水やりに関するトラブルです。
水切れが起きると上の葉から黄色くなることが多く、特に植え付け後や夏の暑い時期、雨が降らない期間が続くときは要注意です。
あじさいはもともと水をよく必要とする植物で、大株になるほど葉数も増えて蒸散量が増えますから、朝たっぷり水を与えても夕方には乾いてしまうことがあります。
反対に、水のやりすぎも問題を引き起こします。
水を与えすぎると下の葉から黄色くなっていくことが多く、根腐れが起きている可能性があります。
根腐れが進むと根から酸素が吸収できなくなって株全体が衰え、葉が黄色や茶色に変色したり、ハリを失ってくることがあります。
鉢植えの場合は特に注意が必要で、鉢皿に水を張ったまま常に湿った状態にしておくと根が傷みやすくなります。
肥料不足・栄養の欠乏
下の葉から黄色くなってきた場合は、窒素欠乏の可能性があります。
窒素は植物の体を作るタンパク質やアミノ酸の元となる重要な成分で、下葉が黄色になるのは肥料が足りていないサインのひとつです。
あじさいに特に多いのが鉄とマグネシウムの欠乏です。
土壌がアルカリ性だと鉄が吸収されにくくなるため、鉄欠乏による葉の白化や黄化が起きやすくなります。
これは花の色がピンクに寄っているあじさいで確認されることが多く、土のpHと花色の変化がセットで現れることがあります。
鉄欠乏による黄変は、メネデールなどの植物用鉄剤を週1度の散布で続けることで改善が期待できます。
また、酸性に調整されたアジサイ用の肥料を株周りに漉き込むことで栄養補給と土壌の酸度調整を同時に行うことができ、再発防止にもつながります。
マグネシウムが不足すると、葉脈は緑を保ちつつ葉脈以外の部分が黄色くなる特徴的な症状が現れます。
また、肥料を与えているのに葉が黄色くなる場合は逆に肥料の与えすぎが原因のこともあり、根が肥料焼けを起こして養分の吸収が妨げられていることもあります。
日当たりや環境の急変による影響
あじさいは明るい日陰や半日陰を好む植物で、真夏の強い直射日光を長時間受け続けると葉が乾燥して葉焼けの症状が出やすくなります。
葉焼けでは葉の一部の緑が薄れて黄色っぽくなったり茶色くなったりし、場合によっては黄色く変色した部分に茶色い斑点が現れることもあります。
また、屋内から屋外への移動など環境が急に変わった場合にも葉が黄変することがあります。
購入直後や植え替え直後、場所の移動、温度変化といったストレスが原因で、急に上の葉から黄色くなることがあります。
この場合は半日陰の場所で1〜2週間かけてゆっくりと環境に慣らしていくことが大切で、株が新しい環境に適応すれば自然と落ち着いてくることがほとんどです。
蒸れによる内側の葉の黄変
枝が込みすぎて通気性が悪くなると、外側の葉は問題ないのに内側の葉だけが蒸れて黄色くなることがあります。
この場合は枝を透かして中まで風が通るように剪定するのが有効です。
特に梅雨の時期は湿度が高く蒸れやすいので、株全体の風通しを意識して管理することがあじさいの健康を保つうえで重要です。
病気や害虫による黄変
病気が原因で葉が黄色くなるケースもあります。
葉や茎に黒い斑点ができる病気では、病斑の周りから葉が黄色く変色して落ちていくことがあります。
また、ハダニやグンバイムシなど葉の汁を吸う害虫がつくと、斑点状やかすり状に黄色くなることがあります。
葉の裏側を確認して虫がいれば殺虫剤で対処し、病気が疑われる場合は患部を早めに切り取って感染が広がるのを防ぐことが基本的な対処法です。
黄色くなった葉は元に戻るのか
気になるのは「黄色くなった葉が緑に戻るかどうか」という点です。
一度黄色くなった葉は元の緑には戻りません。
ほとんどの場合、黄色く変色した葉はそのまま落ちますが、株全体が枯れるわけではありません。
つまり、すでに黄変した葉を緑に戻すことは難しくても、原因を取り除けば新しく出てくる葉は正常な色で育ちます。
葉焼けを起こした葉は、見た目は痛々しいですが、枝についているうちはまだ光合成をしている可能性が高いので、自然に落ちるまで無理に取り除かずそのままにしておく方が株の養分確保のためにはよいとされています。
ただし、病害虫が原因の場合は被害が広がらないよう早めに取り除いた方がよいこともあります。
対処の基本は原因の特定から
葉の黄変への対処でもっとも重要なのは、原因を正確に見極めることです。
水やりなのか、肥料なのか、日当たりなのか、病害虫なのかによって取るべき行動がまったく違います。
対処を誤ると症状をさらに悪化させてしまう恐れもありますので、まずは葉の黄変の場所(上か下か、全体か部分か)、葉脈の色、土の乾燥状態、日当たりの環境などをしっかり観察してから判断するようにしましょう。