
「バラを育ててみたいけれど難しそう」と二の足を踏んでいる方は、おそらく品種の多さに戸惑っているのではないでしょうか。
バラには世界中で2万種類以上の品種が存在すると言われており、どれを選べばよいのかわからなくなるのは当然のことです。
しかし、最初に選ぶ「系統」さえ間違えなければ、初心者でも驚くほど順調に育てることができます。
バラの系統について知っておきたい基礎知識
バラの品種を整理するうえで、「系統」という概念を理解しておくことが大切です。
バラは大きく分けてワイルドローズ(野生種・原種)、オールドローズ、モダンローズの三つに分類されます。
一般的にホームセンターや園芸店で流通しているもののほとんどはモダンローズに属します。
そのなかでもよく目にするのが、ハイブリッド・ティー(HT)は「四季咲き大輪」、フロリバンダ(FL)は「四季咲き中輪」で房咲きという条件がつきます。
これらはいずれも木立性という共通点を持っています。
そのほかにシュラブ(S)と呼ばれる系統もあり、シュラブは広義では木立性のバラを意味しますが、狭義にはモダンローズのどこの系統にも属さない系統をまとめて呼ぶことがあり、花の咲き方も樹形も多様な種類が存在します。
初心者にもっとも向いているフロリバンダ系統
バラ栽培の専門家や園芸店の多くが、入門の一株として真っ先に挙げるのがフロリバンダ系統です。
「フロリバンダ」とはアメリカで名付けられた系統名で「花束」を意味しています。
ハイブリッド・ティー・ローズと花付き・耐寒性の良いポリアンサ・ローズの交配により誕生し、「四季咲き中輪種」と呼ばれることもあります。
この系統の最大の魅力は、とにかく丈夫で花付きが良い点です。
片親がハイブリッド・ティー系統なので花形の美しさを受け継ぎながら、同じく片親であるポリアンサ系統の強健さを継承しているので育てやすく初心者向きの品種が多いのも特徴です。
一つの枝先に複数の蕾が時間差で次々と開花していくため、少ない株数でもボリューム感のある景観を楽しめます。
四季咲き中輪系の房咲きのバラで、フロリバンダは寒いところでも栽培できるようにデンマーク、北ドイツ、アメリカなど寒い国で多くの品種が生まれ、丈夫なバラが多いのが特徴です。
日本のように夏の高温多湿が厳しい気候でも比較的耐えやすく、全国各地の公園にも多数植えられているのはそのためです。
手軽に始めるのであれば、次々開花する房咲きのフロリバンダ種を鉢植えで育てるのがよいというのが、バラ専門家たちの一致した見解です。
剪定の難易度も低く、花後に枝を適度に切り戻すだけで次の花芽がつきやすいため、細かい管理が苦手な方でも成功しやすい系統と言えます。
次のステップとして魅力的なシュラブ系統
ある程度バラへの関心が高まってきたら、シュラブ系統にも目を向けてみてください。
イングリッシュローズはオールドローズの特徴を色濃く残していて、木立樹形とつる樹形の中間の樹形、つまり半つる性(シュラブ樹形)のものが多く、カップ咲きやロゼット咲きなど他のモダンローズにない花形が多く、さらに香りの強い品種が多くあります。
シュラブ系統に分類されるイングリッシュローズは、オールドローズの個性的で存在感のある花の形や香りとモダンローズのカラーバリエーションや返り咲き性を併せ持つ、とても人気の高い種類です。
イングリッシュローズという独立した系統があるわけではなく、イングリッシュローズはモダンローズの系統の中ではシュラブ系(S)に分類されます。
近年のシュラブ品種の中には病気への耐性が非常に高いものも増えており、うどんこ病、黒星病ともに「強い」耐病性で薬剤散布をしなくてもやられることが少なく、ほぼ無農薬で育てることも可能な品種も登場しています。
農薬を使いたくない方やベランダなど近隣への配慮が必要な環境で育てたい方には、こうした耐病性の高いシュラブ品種が特に適しています。
避けた方が無難なハイブリッド・ティー系統
「バラらしいバラ」として多くの人がイメージするのが、花屋の店先で見かけるような長い茎に一輪の大輪花をつけるハイブリッド・ティー(HT)系統です。
見た目の美しさは抜群ですが、一般的に花数が少なく管理の手間がかかることから、初心者が最初に選ぶ系統としてはあまり推奨されません。
ハイブリッド・ティー系統の品種は花数がそんなに多くなりませんが、誰もが想像するバラらしい花が楽しめる品種です。
もし「どうしてもHTを育ててみたい」という場合は、病気への耐性が特に高い品種を選ぶことが長続きの秘訣です。
つるバラは最初の一株には向かない理由
壁面やアーチをバラで彩る景色は多くの方が憧れるものですが、つるバラは入門として選ぶには少し注意が必要です。
枝が2m以上に伸び、構造物に誘引することで形状はさまざまに変えることが可能です。
クライミングローズとも呼びます。
地植えのほうが本来の魅力を発揮して咲いてくれます。
誘引作業は慣れれば楽しい作業ですが、初心者には管理が複雑に感じられることも多く、まず木立性の品種で基礎を身につけてからチャレンジするのが現実的です。
広めの場所で地植えをするなら四季咲きや返り咲き性のつるバラやシュラブがよいとされており、庭に十分なスペースと地植えの環境が整ってからの導入を考えると安心です。
病気への強さが系統選びの最大のポイント
どの系統であれ、初心者が最初に意識すべき点は病気への強さです。
バラには多くの品種があり、たくさんの系統に分かれていますが、初めてバラを育てるのに一番気をつけたいポイントは、病気に強いバラを選ぶことです。
バラの二大病害はうどんこ病と黒星病で、どちらも放置すると葉が落ちて株が弱り、最悪の場合は枯れてしまいます。
鉢を屋根のあるところに置けば黒星病はあまり発生しないため、特にうどんこ病耐性が高い品種の方が育てやすいと言えます。
系統という大きな括りで丈夫さを確認しつつ、さらに個々の品種レベルで耐病性の評価も調べておくと最初の一株選びでつまずくことが少なくなります。