
バラの剪定でよく聞かれるのが「いったいどこで切ればいいのか」という疑問です。
花の手入れとしては比較的思い切りが必要な作業で、初めてハサミを持つとどうしても手が止まってしまいがちです。
ところが、押さえておくべきポイントはそれほど多くなく、芽の位置と状態をしっかり確認できれば、あとは自然と切る場所が見えてくるものです。
芽はどこにあるのかを知ることが第一歩
芽は葉が付いていたところにあります。
これが大前提です。
枝を眺めたとき、葉の付け根の少し膨らんだ部分が芽です。
冬の剪定では葉が落ちた後の作業になることが多いので、葉が付いていた節の跡をたどると芽の位置が確認できます。
外芽と内芽の違い
外芽とは株の中心方向とは反対の外側に向かって芽を指し示します。
反対に株の中心方向を向いている芽は内芽といいます。
バラは芽の向いている方向に新しい枝を伸ばすので、枝がそもそも横に張るように伸びる品種は、芽の向きをある程度考慮して剪定しないと株が片寄った形になってしまうことがあります。
基本的な考え方は「外芽の上で切る」です。
外芽の上で切ることで、枝が外側に伸びていき、株の中心まで日当たりと風通しがよくなるので、花が咲いた時の見栄えが良くなります。
内芽の上で切ってしまうと株の内側へどんどん枝が伸びていき、枝同士が大渋滞してしまいます。
ただし、横張り性の品種については内芽の上で切る場合もあるため、育てている品種の性質を確認しておくことも大切です。
芽のすぐ上で切る距離感
切る位置は、芽のギリギリではなく、赤い芽の上約5mmの位置を目安に切るようにしましょう。
この5mmというのは意外に大事で、近すぎると芽が傷みやすくなり、遠すぎると切り残した部分が枯れ込んでしまいます。
株の外側に向いた芽(外芽)の5〜6mm上で、芽の向きと並行になるように斜めに切ることがポイントです。
斜めに切ることには理由があります。
水平に切るよりも切り口に雨や露がたまりにくいからです。
切り口に水分が付着したままだと病原菌が発生しやすいのです。
赤い芽を選ぶ理由
赤い芽がある枝は生命力が強く、芽吹きやすいため、春に良い花を咲かせる傾向が高いです。
剪定前に枝をよく観察して、赤みのある充実した芽を探すことが、切る位置を決める手がかりになります。
逆に黄緑色や色が薄く弱々しい芽の上で切っても、その後の伸びが悪くなることが多いです。
五枚葉との関係
四季咲きのバラで花がら切りをするときは、五枚葉を目印にします。
五枚葉を1枚付けてその下で切り取ります。
切り取る位置が悪いと思われる場合は、その上下の五枚葉でもOKです。切る位置は、五枚葉の付け根の目に沿って斜めに1mm程上をカットします。
五枚葉の付け根にある芽は充実していることが多く、そこから花を咲かせる枝が伸びやすい性質があります。
三枚葉の節には芽があっても力が弱く、花が付きにくいため、しっかりした五枚葉を見つけてそこを基準にするのが自然な判断です。
一番花の咲がら切りについては、3月から伸び始めた枝の中頃のしっかりした五枚葉の所(5枚の葉が付いている所)で切ります。
切ってはいけない枝の見極め
元気な芽を残すためには、残してはいけない枝を見分けることも同様に大切です。
まったく不要な枝(枯れ枝、病気の枝、傷んだ枝、弱った枝)などは、全部切り捨てておきます。
また、ハサミを入れて抵抗なく切れてしまうやわらかい枝は、どんなに太い枝でもほとんどの場合、まず咲かない枝ですので惜しまず切りとりましょう。
太さの目安については品種によっても異なりますが、大輪品種では鉛筆の太さよりも細い枝、中輪品種は割りばしよりも細い枝、小輪品種は竹串よりも細い枝が弱小枝の目安とされています。
ただし、品種特性や株の生育状況によって異なるため、これはあくまで参考値として活用してください。
剪定後に芽が動かない場合の対処
剪定したあと、しばらく経っても芽が出てこない枝が出てくることがあります。
放任しておくとあとで枯れ込んできたり、病気の温床となるケースがよくあるので、元気に伸びる新芽の上で切り戻しておきます。
またこの時、芽がまったく吹かない枝があるなら、それは春になっても咲かない枝ですので、付け根から切りとっておきましょう。
芽の見極めはそれほど難しいことではありませんが、慌てて作業を進めようとすると見落としが出ます。
枝一本一本を丁寧に眺め、赤みのある充実した外芽を探してからハサミを入れる習慣をつけると失敗が格段に減っていきます。