種類が多すぎて選べない?バラの消毒に最低限必要な薬剤はどれ?

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種類が多すぎて選べない?バラの消毒に最低限必要な薬剤はどれ?

バラの消毒に使う薬剤を選ぼうとしてホームセンターの農薬コーナーに立つと棚いっぱいに並んだ商品の多さに圧倒されてしまう方は少なくないでしょう。

殺菌剤だけでも予防薬・治療薬の区別があり、殺虫剤も対象害虫によって複数存在し、さらに展着剤まで加わってくるとなれば、何を選べばよいのか途方に暮れるのも無理はありません。

ただ、整理してみるとバラの消毒に必要な薬剤の役割は思いのほかシンプルです。

まず基本として押さえておきたいのは、バラの薬には大きく分けて、病気を予防・治療する「殺菌剤」と害虫を退治する「殺虫剤」の2種類があるという点です。

さらにどちらの効果もあわせ持つ混合タイプや薬剤の効きをよくする展着剤を加えてもせいぜい3〜4カテゴリーです。

予防薬と治療薬の違い

多くの殺菌剤(ダコニール1000、オーソサイド水和剤など)は予防剤として分類され、薬剤を散布することにより植物体を覆って葉の表面に付着している、または飛んできた病原体を退治する薬剤で予防効果に優れています。

一方で植物体内に入った病原体への効果はありません。

これに対し、浸透移行性はないものの薬の成分が葉の中に浸透し、すでに侵入した病原体まで退治できるのが治療薬(ベンレート水和剤、トップジンMゾル、サプロール乳剤など)です。

この2種の役割の違いを理解しておくと薬剤選びがずいぶん楽になります。

予防薬にはジマンダイセン、オーソサイド、フルピカフロアブル、サンヨール、ダコニールなどがあり、治療薬にはサプロール、サルバトーレ、ラリー、トップジンMなどがあります。

基本的な考え方は「病気が出る前は予防薬中心で守り、発生が見られたら治療薬を加える」というものです。

月に4回散布するならば3回は予防薬で、治療薬は月に1〜2回程度というのが、バラの生産現場における基本的なバランス感覚です。

最初にそろえるべき殺菌剤の組み合わせ

初心者の方がまず手元に置いておきたい殺菌剤として、バラの専門家たちがよく挙げるのが「ダコニール」と「サプロール」の組み合わせです。

この2剤を混ぜて散布する方法は「ダコサプ」と通称され、バラの育種家・小山内健氏がバラの初期の病気防除に最適な組み合わせとして強力に推薦しています。

「STダコニール1000」の有効成分はTPN(有機塩素系)で、黒星病・ウドンコ病・斑点病の防除に効果を持つ予防薬で年間使用回数は6回までです。

「STサプロール乳剤」の有効成分はトリホリン(EBI系)で、ウドンコ病・黒星病・サビ病の予防と治療ができ、年間使用回数は5回までです。

ただし、この2剤を組み合わせたダコサプには注意点もあります。

「ダコニール」も「サプロール」も夏に薬害を起こしやすい農薬であるため、暑くなる前の春の芽出し時期に特化した薬剤の組み合わせといえます。

殺虫剤が入っていないので、害虫が出てくる時期には物足りないと感じることもあります。

したがって、春先の芽吹きに合わせた消毒のスタートにはこの組み合わせが優れていますが、夏以降は別の殺菌剤に切り替えていく必要があります。

黒星病とウドンコ病のどちらにも効く薬剤としてはダコニール、フルピカフロアブル、サンヨールが挙げられます。

夏の間はダコニールの代わりにベンレート水和剤(ベンゾイミダゾール系)をローテーションに加えると、予防薬としても治療薬としても使えるため便利です。

殺虫剤は出てから使うが、何を持つか

殺虫剤や殺ダニ剤については、虫が付いていなければ散布する必要はなく、初期発見をして害虫の登録がある農薬を散布するという姿勢が基本です。

とはいえ、春になればアブラムシがほぼ確実に発生し、梅雨明けにはハダニが猛威をふるうのが現実です。

まったく殺虫剤を持たずにシーズンを迎えるのは少々不安があります。

アブラムシ類には、スミソン(1,000倍)、オルトラン水和剤(1,000倍)、オルトラン粒剤、アドマイヤーフロアブル(2,000倍)などが有効です。

これらのうち一種を手元に持っておくだけで、春の発生ピーク時には十分対応できます。

ハダニについては葉の裏側に付くため葉裏に薬剤がかかるように散布することが重要で、発生前の予防散布が望ましいです。

「ベニカR乳剤」(有効成分フェンプロパトリン・ピレスロイド系)は、アブラムシ類、ハダニ類、チュウレンジハバチ、ハスモンヨトウ、クロケシツブチョッキリ、コガネムシ類成虫、ヒラズハナアザミウマなど、バラにつくさまざまな害虫に対応できる幅広い殺虫剤です。

複数の虫に一本で対応できるという意味では、最小限の薬剤数でスタートしたい方に向いています。

展着剤という「縁の下の力持ち」

薬剤の種類とは少し話が変わりますが、消毒の効果を安定させるうえで展着剤の役割も見逃せません。

展着剤を混ぜることで薬の効果を高めることができ、展着剤はのりのような役割があり、より長く葉に薬が留まるようになります。

予防薬には薬剤を葉面に広く薄く固着させるタイプの展着剤(ダイン、グラミンなど)が向いており、治療薬には植物の組織内に薬剤を浸透させる展着剤(アプローチBI、スカッシュなど)が有効とされています。

こうした細かな使い分けまでする必要は最初からありませんが、展着剤を加えるかどうかで散布効果がかなり変わることは頭に入れておくとよいでしょう。

結論として最低限の構成とは

以上を整理するとバラの消毒を始めるにあたって最低限そろえておきたい薬剤の構成は次のようになります。

殺菌剤として系統の異なる2〜3種(例:ダコニール系の予防薬、サプロールやサルバトーレなどのEBI系治療薬、そして夏用にベンレートなどのベンゾイミダゾール系)、殺虫剤として対応害虫の幅が広いもの1〜2種、そして展着剤1種です。

病気用と害虫用をローテーションできるよう各3種ずつ持っているとよいという考え方もあります。

ただし最初から完璧に揃えようとする必要はなく、まず春のシーズン開始に合わせて予防薬と殺虫剤を1種ずつ用意し、様子を見ながら徐々に種類を増やしていくというアプローチが、実際には長続きするやり方といえます。

手持ちの薬剤が少ないうちは、同じ薬剤を使い続けると薬剤耐性菌が出現して薬が効きにくくなることがあるという点だけは強く意識して、同じ薬を連続で使いすぎないように注意してください。

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