
庭やベランダで大切に育ててきたバラ。
気に入った品種をもっと増やしたい、あるいは大輪の美しい花を咲かせる株をもう一鉢手元に置いておきたい。
そう思ったことがある方は多いのではないでしょうか。
バラを増やす方法はいくつかありますが、その中でも手軽に挑戦できるのが挿し木です。
ただ、実際にやってみると思ったように根が出なかったり、枯れてしまったという経験をした方もいるかもしれません。
バラの挿し木はポイントさえ押さえれば、成功率はぐっと上げられます。
挿し木に向いている時期を見極める
バラの挿し木には緑枝挿しと休眠挿しの2種類があります。
緑枝挿しは葉が出ている生育期に行う方法で、休眠挿しは冬に行う方法です。
梅雨時期は湿度が高く挿し穂が乾燥しにくいため発根しやすく、5月下旬〜7月頃が特におすすめです。
秋バラが咲く10月でも挿し木は可能です。
一方、冬の剪定で切った枝を使う休眠挿しは成長が遅いため、初心者にはあまりおすすめできません。
梅雨の時期というのは植物にとっても人間にとっても過ごしにくい季節ではありますが、バラの挿し木という観点では絶好のタイミングです。
ここ最近の日本の夏は酷暑が続いているため、真夏に挿し木をする場合は室内で管理する方が安全です。
挿し穂の選び方と作り方が成否を分ける
挿し木の成功率を左右する最大の要因のひとつが、挿し穂の質です。
バラの株から病気や害虫の被害がなく、しっかりとした緑色の枝を選ぶことが重要で、できるだけ新しい成長枝を使うと成功率が高まります。
枝の選び方にも注意が必要で、先端の細い枝は根が出やすいものの発育が悪い傾向があり、反対に下の太い部分を使うと根が出るまでに時間がかかって枯れてしまうことがあります。
枝の中央部分で直径3〜5mm程度のところを挿し穂として選ぶのが理想的です。
切り口は面積が広くなるよう斜めにそぎ落とすと水分の吸水率や発根率が高まります。
葉は2か所残し、1か所につき2〜4枚になるよう整えます。
葉が多いと蒸散して枯れやすくなるため、大きな葉は半分にカットしておきましょう。
切断用具は切れ味の良い剪定ばさみを使うことが大切です。
切れ味が悪いと細胞を押しつぶしながら切ることになり、挿し木の成功確率が下がってしまいます。
用土と水やりの管理
挿し木に使う用土は水はけが良く、清潔で肥料分がないことの3点が必要な要素です。
市販の挿し木用土を使えば問題ありませんが、自身で配合する場合は赤玉土を混ぜると清潔に保てて害虫や細菌の予防にもなります。
また、パーライト7:ピートモス3の割合で配合するのもおすすめで、粒同士の間隔が広く根の伸長を妨げない用土になります。
水やりは乾燥させないことが鉄則です。
根が出るまでの1〜2か月は土が乾かないように管理し、常に土が湿っている状態を保つことが大切です。
受け皿に水を溜めて底面吸水にすると次の水やりまで長時間あく場合でも乾燥を防げます。
置き場所と環境管理
挿し木したばかりのバラはとても弱く、直射日光に当たると枯れてしまうことがあります。
そのため、強い日差しを避けて、半日陰で風通しのよい場所に置くことが大切です。
屋外に置く場合には、建物の東側にできる明るい日陰が向いています。
風通しがよく雨がかからない場所がベストです。
発根促進剤を活用する
発根促進剤があれば挿し木の成功確率が上がります。
使い方はカットした枝の断面に塗るだけなので簡単です。
市販のルートンなどの粉末タイプは、枝の切り口を水に浸してから粉末をまぶして使います。
ホームセンターなどでも入手できる手軽な商品ですが、農薬ですので使用する際は必ず商品の説明をよく読んで記載内容に従って使いましょう。
発根の確認と鉢上げのタイミング
発根には3週間から1か月半ほどかかります。
茎の周りにカルスと呼ばれる白くてゴツゴツしたものが付き、その後根が出てきます。
挿し木がうまく成功すると2か月ほどすると新芽が残しておいた葉の枝元から出てきます。
この時期はまだ根がとても柔らかいため、根をあまり触らず傷つけないように植え替えをしましょう。
着根の成功が確認できたら、有機肥料や液体肥料などを適度に与えて生育を支えましょう。
早く育てたいからといって肥料を与えすぎるのは禁物で、育ち始めた植物にとって肥料は効果が強すぎる場合があり、かえってストレスの原因になることがあります。
種苗法への注意
挿し木でバラを増やす際に忘れてはならないのが、種苗法の存在です。
登録品種の植物を譲渡や販売、海外への持ち出しの目的で許諾なく増やすことは種苗法によって規制されています。
お気に入りのバラを増やすのはあくまでも自宅で自分が楽しむためにとどめておくことが大切です。
品種タグや購入時の説明をよく確認した上で取り組みましょう。