
春が近づいてバラの芽が膨らみ始めると園芸好きにとってはワクワクする季節の到来です。
ところが、この時期に必ずやってくる作業が芽かきです。
せっかく出てきた可愛らしい芽を摘んでしまうなんてもったいないと感じて手が止まってしまう方は少なくありません。
でも実は、この芽かきこそがバラを美しく、健やかに育てるために欠かせない作業なのです。
芽かきとは何か
芽かきとは、バラの新芽が成長する頃に不要な芽を取り除く作業のことです。
バラには通常、節の1箇所につき3つの芽があり、このうちの一つが伸びてくればよいのですが、二つ以上の芽が同時に伸びてきてしまうこともあります。
そのような状態を整えるのが、芽かきという作業です。
養分を集中させることで枝と花が変わる
芽かきをする最大の理由は、養分の分散を防ぐことにあります。
芽が多すぎると養分が分散してしまい、大きなよい花が咲かなくなってしまいます。
芽かきをした場合は残した芽に養分が集中し、枝は太く立派になり、良い花が咲きます。
一方で芽かきをしない場合は養分が分散し、細い枝になり、良い花が咲きにくくなります。
つまり、「もったいない」と思って複数の芽をそのまま伸ばしてしまうとどの枝も中途半端な育ち方になり、結果的に花の美しさが損なわれてしまうのです。
特に大輪の花をつける品種では芽かき作業がとりわけ大切です。
風通しと病気予防の観点からも重要
バラの枝、特に株内部の枝や下のほうの枝には、花をつけず葉も数枚出しただけで止まってしまうものがあります。
これらの枝も光合成をして養分をつくり出す役割はありますが、一方で病気の発生源になりやすいというマイナス面もあります。
不要な脇芽を整理すれば、株内部の蒸れが解消し、枝を透かすことで株全体への薬剤散布もしやすくなり、病気の発生を抑制することができます。
育ってくると枝が込み合いすぎて風通しが悪くなり、病害虫が発生しやすくなったり、日光が十分に当たらなくなるからです。
バラは特に黒星病やうどんこ病にかかりやすい植物ですから、株内部の空気の流れを確保することは、日々の管理においてとても重要な意味を持ちます。
芽かきの適切なタイミング
芽かきの適期は、若葉が2〜3枚展開してきた頃です。
これくらいになれば、そう簡単に枯れたり取れたりすることはありません。
逆に言えば、まだ若葉が展開していない段階で芽かきをするのは時期尚早で、遅霜や少しの衝撃で枯れてしまうリスクがあります。
芽が1〜2cmくらいの小さい段階で行うとベストです。
手で取れないほど成長して硬くなってからでは遅いので、タイミングを逃さないよう注意しましょう。
残す芽の選び方と作業のポイント
芽かきのポイントは、手で摘むこと、力強い芽を残すこと、芽が伸びた時をイメージして残す芽を選ぶこと、の3つです。
ハサミで切ると組織が残り、再び芽が出ることがあるため、芽は手で摘むことが基本です。
複数の芽が出ている場合は、外側を向いて伸びている元気なものを選び、株の内側に向かって込み合う芽は積極的に取り除くとよいでしょう。
毎日バラを見回るついでに葉がごちゃごちゃと込み合っているところを見つけたら、その都度何度でも繰り返しやればよいと思います。
すべてのバラに必要なわけではない
芽かきの作業は、バラ栽培において必須なものではありません。
芽かきにはメリットとともにデメリットもありますので、バラの様子を見ながら判断しましょう。
まだ小さな株は、芽を減らすことなく成長させ、株の体力を養いましょう。
たくさんの花を房のようにつけるミニバラなどは、無理に芽かきをする必要はありません。
十分に生育していない株の場合、メリットよりもデメリットのほうが大きくなるので、芽かきはしないほうが無難です。
芽かきは、バラに負担をかけるように見えて、実は株全体の健康と美しい開花を守るための思いやりある作業です。
もったいないという気持ちはよく理解できますが、不要な芽を摘み取ることで残った芽に力が集中し、その分だけ豊かな花が咲いてくれます。
春の芽吹きの時期にぜひ少しだけ勇気を出して芽かきに取り組んでみてください。