
蕾をつけることはバラが元気な証拠ですが、あまりに多すぎると少し考えものです。
蕾がたくさんついているのを見ると嬉しくなるのは当然ですが、一枝にたくさんの蕾がつくと養分が分散して一つ一つの花が小さくなってしまったり、最後の方に咲いてくる蕾がきれいに咲き切らないこともあります。
こうした状態を改善するために行うのが、摘蕾(てきらい)と呼ばれる作業です。
摘蕾とは何か
摘蕾とは、文字通り蕾を摘み取る作業のことです。
バラを育てていると一本の枝に複数の蕾が次々とついてくることがありますが、すべてを咲かせようとするよりも意図的に数を絞ることで花の質を高めることができます。
蕾をつけすぎる品種は、全部咲ききれずに蕾が落ちたり、黄色く枯れたりすることもあるので、株の状態や品種の特徴・環境など様子を見て対応することが大切です。
品種によって対応が変わる
摘蕾の方法は、バラの品種や系統によってかなり異なります。
ハイブリッドティー(大輪一輪咲き)の場合は、中心の蕾ひとつを大きく咲かせるために副蕾をカットして主蕾を成長させます。
ひとつの花に栄養を集中させることで、ハイブリッドティーらしい大輪の花を咲かせることができます。
カタログや写真で目にするあの迫力ある大輪の花は、人の手で摘蕾をしてコントロールされた結果でもあります。
一方、フロリバンダ(房咲き)の場合は考え方が逆になります。
主蕾をカットして副蕾を一斉に揃って咲かせるときれいな房咲きになります。
摘蕾をしない場合でも蕾は上から順番に咲きますが、主蕾を取り除くことで一度に見頃を迎えさせることができます。
また、花径が小さいミニバラについては話が少し違います。
花径3センチ程度の小輪のミニバラは多花性が高く、一輪が開花するまでの期間も大輪に比べてはるかに短いため、付いた蕾のほとんどが開花に至ります。
そのため、個別に摘蕾する必要はほとんどありません。
摘蕾しないとどうなるか
摘蕾をしなくても花は咲きます。
摘蕾しないで自然に咲かせる場合は、一つ一つの花が少し小さくなり花弁数も少し減りますが、その分花数が増えるということになります。
どちらが良いかは、育てている品種とその人が何を求めているかによります。
きれいな花がどんと咲くのが好きな方は蕾の数を絞ったほうがいいですし、なるべくたくさん咲かせたい方は絞らなくても構いません。
摘蕾の具体的なやり方とタイミング
蕾が小さいうちに手で摘み取るだけです。
時期は気がついた時に随時行います。
ただし蕾が大きくなりすぎてしまうと摘むのがもったいなくなります。
道具についても注意があります。
摘蕾をするときはハサミで切るよりも手でぽきっと折り取るほうがおすすめです。
ハサミで切ると切り口から病気が入り込みやすくなることがあるためです。
また、小さい蕾は大きい蕾が咲く前に茶色くなってポロンと取れることも多く、勝手に落ちることもあるので、摘蕾は必須の作業ではありません。
新苗の場合は特別な注意が必要
苗の状態によっても対応が変わります。
新苗であれば、その年はすべて摘蕾して株を大きくするくらいでも良く、一個だけ残して花を楽しむにしても花が終わるまで待たずに早めにカットするのが一般的です。
木立ち性バラの場合、この時期から何回かに分けてシュートの先端を摘み取るシュートピンチを行うことが推奨されています。
枝が十分に生長する前に花がついてしまうと栄養が取られてしまい、翌シーズンの開花が少なくなってしまうこともあります。
さらに株が弱っているときは特に蕾への配慮が必要です。
うどん粉病やハダニなど病害虫で株が弱ってきているときは、咲かせることがダメージになることもあるので、株のリカバリーを優先するときだけ蕾を取るようにしましょう。
正解はひとつではない
摘蕾するかどうか、するとしてもどのくらい取るかは、専門家によっても栽培環境によっても品種によっても異なります。
大切なのは、自分が育てている品種の特性を知り、株の状態をよく観察しながら判断することです。
ひときわ蕾をたくさんつけすぎてしまった枝については少しだけ摘蕾をしてあげるほうがきれいに咲いてくれる場合もあります。
蕾を摘むことを惜しむ気持ちはよくわかりますが、株全体のバランスと来シーズン以降のことも視野に入れながら、のびのびと育てていくのがバラ栽培の醍醐味とも言えます。