
バラをはじめとする植物の多くは、若くて白い根の先にある根毛から栄養と水分を吸収して生きています。
土の中の太い根は水道管のような役割を果たし、枝や葉へと栄養を供給しています。
鉢植えのバラを何年も植え替えずにいるとこの水道管が長くなり、枝や葉までの距離が遠くなるうえ、鉢の中で根が詰まってしまい、栄養や水分の吸収が悪くなって生育不良の原因となります。
放置すると根詰まりは必ず起こる
植物は細根から養分や水を吸収するため、元気なバラは細根をたくさん伸ばします。
しかし、細根が多くなりすぎると根がぎゅうぎゅうに詰まってしまい、水はけが悪くなって根腐れを起こしたり、根からの吸収能力が落ちて株の元気がなくなってしまったりします。
また、根が増えすぎると鉢の中の土が追いやられて流出し、量が減ってしまうことにもつながります。
植え替えは病害虫の発生を防ぐ効果もあります。
バラに付きやすいアブラムシや根を食べるコガネムシなどは、古くなった通気性の悪い土だと発生しやすくなります。
また糸状菌が原因で起こる黒星病やうどんこ病も、水はけや通気性が悪く湿度が高い環境で発生するため、植え替えによって土や植物の健康状態を定期的にチェックしておくことが予防にもつながります。
根詰まりのサインを見逃さないために
実際に根詰まりが起きているかどうかは、地上部の様子だけでは判断しにくいものです。
割り箸などの適当な棒を鉢土の表面に挿してみましょう。
すんなりと棒が入る場合は根詰まりのない健全な状態と判断できます。
反対に棒が入っていきにくい場合は、根詰まりを起こしているかもしれません。
また、鉢底穴を見て根が飛び出している場合は注意が必要で、すぐに植え替えた方がよいでしょう。
根が詰まって腐ってくると、新しい枝が出ないばかりでなく古い枝も枯れ込んでくることがあります。
病気にもなりやすくなるため、気になる症状が出る前に定期的な植え替えを心がけることが大切です。
植え替えの適切な頻度と時期
小型の鉢なら1年から2年に1回、大型の鉢なら2年から3年に1回の頻度で植え替えましょう。
鉢替えの間隔は8号鉢以上の大鉢では2〜3年に1回でも構いませんが、それ以下の鉢の場合は可能な限り1年に1回行います。
時期については、休眠中は根を切ってもダメージが少ないため、鉢バラは植え替えをして根をリフレッシュするのに最適です。
鉢替えの際には根が切断されますが、春の生育開始時期までに十分に根が再生するためにも作業時期は年内が理想的です(関東以西の平地の場合)。
バラの植え替え時期は、新苗なら5月〜6月、大苗なら11月に庭へ地植えにしたり、鉢に植え替えます。
とくに新苗は購入時のポットのままでは長く育てられないので注意してください。
なお、地植えのバラは基本的に根へのダメージが大きく、枯れてしまう恐れがあるのでおすすめしません。
ただし、土壌由来の病気やどうしても移植する必要がある場合は、適した植え替え時期に移植しましょう。
植え替え前の準備
まずは剪定をしましょう。枝が伸びたままでは植え替え作業の邪魔になるうえ、植え替えによって根に多少なりともダメージを与えてしまうため、どちらにせよ剪定は必要になります。
鉢バラを冬に植え替えるときは、葉を全てむしり取り、つぼみや新芽を含め、枝先を5〜10cmほど切り戻しておきます。
また、枯れた枝があれば剪定しておきましょう。
鉢替えを行うと、必ず根が切断されて一時的に植物の吸水能力が低下します。
そのため水を多く必要とする新芽や花などが株に残っていると、脱水症状を起こす危険性があります。
これらはあらかじめ切り落としておくと安全に作業を行えます。
植え替えの手順
鉢からの取り出し
バラの株元を持って引っ張り上げ、鉢から取り出します。
抜けない場合は無理に引っ張らず、鉢を横倒しにしてトントンと叩いてみましょう。
ゴムハンマーなどで鉢のふちに衝撃を与えると外れやすくなります。
根鉢のほぐし方
鉢バラの場合、根鉢の上、厚さ2〜3cmの細根のかたまり部分は上に向かって剥がすように取り除きます。
次に根鉢の底を十字に切って、根鉢の側面の細根をむしりとりましょう。
その後は軽くもみ込んで、根鉢全体の3分の1の根をほぐします。
太い根の長さを短く切りそろえ、黒ずんだ根やカラカラに傷んだ細根があれば取り除いておきます。
土を落とす際、熊手などの道具で掻いてもよいですが、意図せずに根を大きく傷つけてしまう恐れがあります。
可能であれば、ホースや散水シャワーの水圧で土を洗い流すと、根を傷つけずに土を落とすことができます。
また、土を落とすといっても全ての土をきれいに落とす必要はなく、多少残っていても構いません。
鉢と土の準備
鉢に大きなスリットや穴がある場合は鉢底ネットや不織布で覆い、土が漏れ出ないようにしましょう。
まず、鉢に直接根が触れないように先に少し土を入れます。
苗の高さ調節も、底に敷く土で行います。
使用する土については、配合する場合は小粒の赤玉土と堆肥を7:3程度で混ぜたものが基本です。
市販されているバラ専用培養土なら、混ぜることなくそのまま使えます。
植え付けと仕上げ
バラの苗を新しい鉢の中央に仮置きします。
大苗や鉢バラの植え替えでは、できるだけ根が八方に広がるように置きましょう。
このとき、接いだ部分がちょうど鉢のふちの上のラインにくるようにあらかじめ入れていた土の量を調整しておきましょう。
バラを植え替えるときは、接ぎ口部分を埋めないようにしておくのがポイントです。
高さが決まったら株の周りに土を入れます。隙間を埋めるイメージで土を入れていきます。
ただ上から土を入れるだけでは根の間に土が入らず空間ができてしまうので、棒で軽く突きながら土を入れます。
強く突きすぎると土が詰まりすぎてしまうので注意しましょう。
ウォータースペース(灌水の際に水が溜められる)を残すため、鉢の縁から3〜5cmほど下まで土を入れたら完了です。
植え替え後のケア
活力剤を入れた水をたっぷり与えます(鉢底から水が流れ出るまで)。鉢替えなどで根を傷めた場合、活力剤などを薄めて与えるとその後の回復がスムーズに進みます。
鉢のサイズが大きすぎると鉢内の水分が多くなり乾きにくくなります。
そのため、なかなか成長せず根腐れの原因にもつながります。
こんな時は鉢のサイズを小さくし、乾きやすい環境を作ってあげてください。
少し疲れたバラの植え替えの場合は少し小さめの鉢に植え替えて日陰で管理してあげてください。
一年は花を咲かせず養生し、来年の開花に期待しましょう。
また、植え替えの際は同時に活力剤を与えると根の活着がよくなります。